2018年11月21日

「足らず」を楽しむ その④

 「足らず」を楽しむの4回目です。これで、この話は終わります。

 マルシン工業は歴史あるモデルガンメイカーで、その昔は中田の下請けとしてモデルガンを製造していました。
 もっとも、「中田の下請け‥‥」と書いて、意味が分かる人は本物のジジイ・ガンマニアの仲間です。
 で、下請け時代にブラウニングHPやワルサーP38を製造していたこともあって、プラグファイアカートリッジ開発時、ブラウニングHPとワルサーP38の二梃を最初にモデルアップしたという流れがあります。そのため、マルシン工業の初期のワルサーP38(樹脂製)のパーツは、中田のワルサーP38にも使用できます。全部ではありませんが使用できます。

 プラグファイアカートリッジ発売時の販売は記録的で、マルシン工業では直ぐにワルサーP38をモデルチェンジしました。どうせならフルサイズで新規製造してくれていたら、それこそ完全に歴史に残る一梃になったはずですが、カートリッジを共用としたため、380ACP口径(?)のワルサーP38が出来上がったワケです。
 まあ、それでも、マルシン工業のワルサーP38は良いモデルガンの一つです。


 そのワルサーP38ですが、当然ながらサイド発火仕様です。というわけで、「足らず」を楽しめます。
 サイド発火仕様はセンター発火仕様と比べると、チェンバーへの装弾時に暴発が起きやすいとされますが、実際に試してみると、それほど暴発は起きません。今回、改めて暴発テストをしたところ、100回の装弾で2回だけでした。なかなかに優秀です。
 ちなみに、キャップ火薬をカートリッジに詰めるとき、一番奥まで押し込むと暴発しなくなります。これは使える「ワザ」の一つです。
 なぜ、奥まで押し込むと暴発しないかと言うと、カートリッジ内(キャップ火薬とリムの針の間)の空気が多くなるため、それがクッションとなってカートリッジの前進にブレイキを掛けてくれるからです。そのため、1mmや2mm余分に押し込むだけで、明らかに暴発は減ります。

 ワルサーP38は暴発が少ない上に、発火性能も排莢も良いです。発火性能が良いのはカートリッジが軽いためです。ハンマーの打撃力が火薬に伝わりやすくなります。排莢が良いのはエジェクターの位置とスライドの後退量の関係からです。スライドの後退量が大きいです。

 というわけで、ワルサーP38は発火ファンにお薦めの一梃なのですが、さらに、サイド発火の利点を活かすことで、発火ファンが楽しめるカスタマイズも可能です。ハイスピードブロゥバック化が楽しめます。
 「ハイスピードブロゥバックカスタム」というのは、その名のとおり、ブロゥバック時のスライドの後退スピードをアップさせたものです。私が作り、私が命名しました。
 キャップ火薬1個のままでスライドの後退スピードを上げたワケです。これ、ブロゥバックパワーは上げていません。パワーを上げずにスライドの後退スピードのみ上げました。

 普通に考えると、ブロゥバックパワーを上げずにスライドの後退スピードを上げることは、エナジーの保存則から不可能ですが、内部パーツの加工によって出来ます。難しくありません。
 ここで話は戻りますが、サイド発火モデルは耐久性が高いので、ついでなのでブロゥバックパワーも上げることにしました。
 それは激音プラグを組み込むことで可能です。それ以外、一切の加工もパーツ交換も不要です。

 そんなこんなで、私のワルサーP38は、発火音は大きく、ブロゥバックパワーはアップし、スライドの後退スピードはMAXという、発火ファンに喜ばれそうな一梃として完成しました。
 ただ、ザンネンなことは、マルシン工業では2年前にワルサーP38の製造を終了していて、今後は入手でき難いことです。パーツも、モノによっては、すでに手に入りません。

 またいつかマルシン工業が再販してくれると良いのですが、型はエアガン用に変更されたこともあって、可能性はないそうです。

「足らず」を楽しむ その④





Posted by mac-japan  at 12:57